2026/6/16
活動報告
雛に発信機とウイングマーカーを装着しました
いつも「南三陸イヌワシ野生復帰プロジェクト」を応援していただき、誠にありがとうございます。先日、放鳥後の追跡調査(モニタリング)を目的として、イヌワシの雛に発信機とウイングマーカーの装着作業を行いました。
モニタリングの重要性と未来への希望
なぜ今回、雛にこのような器具を装着したのか。それは、今回のプロジェクトにおける重要な目的の一つに、放鳥後の追跡(モニタリング)があるからです。
実は、日本のイヌワシが巣立ち後、どのように行動範囲を広げ、やがて繁殖へと至るのかといった具体的なデータは、国内にほとんど存在しないのが現状です。
今回装着した発信機によって、1日4回の位置情報を得ることができます。さらに、黄色いウイングマーカーは自然界でも目立ちやすく、観察時の重要な目印となります。
放鳥後はこれらを活用し、観察経験豊富なメンバーが目視でのモニタリングを実施します。しっかり餌を獲れているか、ケガをしていないかといった「健康状態の確認」から、どこをねぐらにし、どのような環境を好むのかといった「生態の分析」までが可能になります。
ここで得られる貴重なデータは、南三陸での活動にとどまらず、今後の日本全国におけるイヌワシ保護活動や、豊かな森づくり・自然環境の回復に向けた大きな財産となるはずです。
細心の注意を払った装着作業
このような重要な役割を持つ発信機とウイングマーカーですが、装着作業は極めて慎重に行われました。
雛とはいえ、嘴(くちばし)や鉤爪の強さは相当なものです。人の手に触れられることや未知の器具を装着されることは雛にとって大きなストレスになりかねず、人間にもイヌワシ自身にもケガのないよう細心の注意を払う必要があります。
そのため、今回はワーキンググループの中でも野外での発信機装着経験が豊富なメンバーと飼育経験が豊富なメンバーが作業を担当し、可能な限り短時間でストレスを最小限に抑える形で行われました。
無事に装着を終えた姿がこちらです。
発信機は10センチ未満の小型なものを使用しているため、羽毛に埋もれて外からはほとんど見えません。
健康診断も実施!順調に成長を続けています
装着作業と同時に、健康診断も実施しました。結果は非常に良好で、生育は順調そのものです。
実は事前の動物園でのDNA検査の結果、この個体はメスであることが分かっています。イヌワシはオスよりもメスの方が体が大きくなる特徴があり、現在の体重はすでに成鳥のオスの平均サイズを上回っているほどです。鳥類は脚から成長すると言われますが、この雛の脚の大きさもすでに成鳥並みと立派に育っており、翼もこれからさらに大きく成長していく見込みです。
また、日々の成長は食欲や行動にもはっきりと表れています。
飼育担当スタッフによれば、小屋にやってきた当初は動物園時代と同じ餌用のラットを与えていましたが、今ではウズラ、キジ、イタチと、食べる餌のサイズもどんどん大きくなりました。さらに、ただついばむだけでなく、足で獲物をしっかりと押さえつけ、引きちぎって食べるという、猛禽類らしい動作もできるようになっています。
最初は一度巣台から降りてしまうとなかなか上がることができなかった雛ですが、今では自由自在に小屋の中を動き回り、「早く外へ飛び出したい!」と言わんばかりに金網の外を見つめる(時に突進も!)様子がライブカメラの映像からも確認できます。
南三陸の自然の中でたくましく育ち、放鳥の日が間近に迫っていることを実感しています。
おわりに
大空へ羽ばたく準備は、着々と整っています。いよいよ迎える「放鳥」という大きな節目に向けて、スタッフ一同、より一層気を引き締めて見守ってまいります。
