2026/2/2
コラム
この景色を、未来の君に残したくて。絵本「イヌワシの棲む山」に込めた想い

本日は、絵本『イヌワシの棲む山』の制作経緯と、そこに込めた想いについてお話しさせてください。
かつて、南三陸の空を悠々と舞っていたイヌワシ。
彼らはなぜ、長い間この地で暮らし続けることができたのでしょうか。
そして、その時代の山や自然は、人々の手によってどのように守られていたのでしょうか。
「失われつつある大切な記憶を、未来を担う子どもたちに分かりやすく伝えたい」 そんな強い想いから、この絵本プロジェクトは動き出しました。
その後何度も何度も打ち合わせを重ね制作しした、私たちにとって思い入れの深い絵本です。
2021年6月にパタゴニア環境助成金プログラムを用いて非売品1,000部を作成し、南三陸地域(気仙沼、南三陸、登米、女川、石巻)の図書館や学校施設に寄贈いたしました。
その後、故・立花繫信氏のご家族からの寄付金を基に改訂新版を作成したものを売品とし、売り上げは南三陸地域のイヌワシ生息環境再生のために使わせていただいています。
人と自然がどう関われば、共に豊かな未来を作っていけるのか。
そのヒントを、ぜひご家族でページをめくりながら、一緒に考えてみていただければ嬉しいです。

イラスト担当:西澤真樹子さん(認定NPO法人 大阪自然史センター理事)よりメッセージ
鈴木卓也さん、南三陸のみなさん、ごぶさたしています。
大阪自然史センターの 西澤真樹子です。
私は、2012年から、「南三陸子ども自然史ワークショップ」の開催を通じて南三陸町に関わってきました。 町の子どもたちが、地域の自然の面白さと出会い、 好きになることから、守る気持ちが育っていくと思うからです。
この絵本、イヌワシのすむ山を、卓也さんと作成したのは2016年。
卓也さんが文章を、私が絵を担当しました。
主人公「たっくん」と「じいちゃん」の会話から、 南三陸の地に、どうしてイヌワシが暮らすことができたのか、 昔の山の管理はどうなされていたのか、 わかりやすく子どもたちに伝えられるものを作りたい、と 数え切れないほどの打ち合わせをしたことを覚えています。
ウェブ版で、絵本のページは読めますが、この本の肝は後半にあります。
南三陸地域の林業の取り組み、明治から平成にかけての南三陸地域の移りかわり、イヌワシ関連年表などの 解説ページは他にないもので、今回のプロジェクトへの理解を深めていただけると思います。
ところで、私がイヌワシに出会ったのは人生で一度きり。
これも、絵本ができた2016年のことです。
南三陸町から90kmほど離れた山の上空.からキャンキャンという鳴き声が聞こえて見上げると、そこには2羽のイヌワシが舞っていました。
1羽は、絵本に描いたのと同じ、「羽と尾っぽに白いマークのある」若いイヌワシでした。
あのイヌワシが無事に育ち、南三陸に飛んできてくれたら、 そしてそこで仲間と出会うことができたら、どんなにいいだろうと思っています。
野生復帰プロジェクト、応援しています。
